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髪染めの危険

数日前、ひとみ(妻)が髪染めをした。 翌日から全身が痛くなり今日で三日目、最低限の家事をするのが精いっぱいで、痛み止めを飲みながら耐えてるところ。ガンバレ! ●髪染めのことで調べてみた まずは「髪染め(事故品)商品回収」の話し(※2018年4月)。 ————————————- 100円ショップ最大手のダイソーは、白髪染め「エバビレーナ白髪タッチ」から、有害物質であるホルムアルデヒドが検出されたとして商品の回収を発表した。 回収された白髪染めには、おそらく防腐剤としてホルマリンが用いられていたよう。ホルマリンは揮発するとホルムアルデヒドになる、この物質は呼吸で肺から体内に取り入れられる。微量では自覚症状は無いが、長期間使用した場合『化学物質過敏症』と呼ばれる症状を引き起こすこともあるという。 ホルムアルデヒドは家具や建材の防腐剤として使われることが多いが、安価で大量に作れるため、マニキュアやヘアカラーなどの化粧品にも用いられることがあった。現在、健康リスクの観点から日本では化粧品への使用が禁止されている物質だ。 この商品は2012年の発売以来、約200万個を出荷したヒット商品だった。この数字は、それだけ多くの人が自分の頭に目立つ白髪を気にしているということを意味している。 ————————————- リクルートが’16年に行った調査では、20~60代男女のうち、46.8パーセントの人に白髪が生えているとしている。 一般的に白髪が出はじめるのは35歳前後だが、まだ若い世代もこの調査に含まれていることを考えれば、中高年のかなりの人が「白髪持ち」であることはいまさら言うまでもないだろう。 美容師で著書に『20歳若く見える頭髪アンチ・エイジング』(講談社)がある板羽忠徳氏は次のように語る。 ————————————- 「実は白髪が生えるシステムはまだ完全には解明されていません。色素細胞から、毛髪を黒く見せるメラニンを作る力が加齢とともになくなっていくためだと言われています。何歳くらいからどれだけ白髪が生えるかについては、遺伝的要素が大きく、食事やマッサージなどではそれほど変わるものではありません」 ————————————- 脂漏性皮膚炎などの疾患や薄毛は、生活習慣を見直せば多少の改善が期待できるが、白髪はそういうわけにはいかない。 若々しい見た目を維持するために、白髪染めを使うことに抵抗はないかもしれない。だが、前述のとおり健康を損ねる化学物質が使われている場合が多いので、実際は注意が必要なのだ。 ●長く使うからこそ怖い いま市販されているヘアカラー剤は酸化染毛剤とよばれるもので、強力なアルカリ剤で髪の毛の表面を開き、そのあと毛の中に入り込んだ染料が酸化することで発色、定着させる商品が主流だ。 毛染めをするとき、薬液が頭皮に付着するとピリピリと痛むことがあるが、これは毛の表面のタンパク質を分解するほどの刺激物だからである。 ドラッグストアの店頭に並んでいるヘアカラー用品のパッケージには、使用方法のほかに健康リスクについての注意書きが載っている。     『腎臓病、血液疾患の既往症のある人は使用禁止』や、     『使用中に倦怠感などの症状がみられた場合は中止すること』 この文言から、いかに人体に対して危険な物質が白髪染めなどのヘアカラー用品に使われているかがわかる。 白髪染めに当たり前のように使われていながら、身体に深刻な影響を与える化学物質のひとつが、パラフェニレンジアミンというものだ。聞きなれない名前だが、薬剤を塗布後、黒く発色させるために必要なものだ。アレルギー反応で頭皮がかぶれたりするだけではなく、強い発がん性があるうえに骨髄などに深刻な障害を与えることが明らかになっている。 ジアミン系の薬剤は、’91年にフィンランドで使用が禁止されたのを皮切りに、世界各国で使用禁止の流れが広がった。ところが、日本ではこの物質がいまだに白髪染めに使われている。 パラフェニレンジアミンは、血液中のヘモグロビンを「メトヘモグロビン」に換える働きを持つ。メトヘモグロビンはいわば運動能力を失ったヘモグロビンで、この血中濃度が高まると、血尿などの症状が表れる。腎臓病や血液疾患のある人が白髪染めの使用を禁じられているのはそのためだ。 パラフェニレンジアミンだけでなく、アンモニア水や過酸化水素水も白髪染めに含まれる場合が多いが、これらも同様に皮膚に触れるとアレルギー反応を起こす。その範囲は顔だけでなく首や足の裏にまでおよび、ひどい場合は大きく腫れることもある。 パラフェニレンジアミンにおいては、アナフィラキシー・ショックを起こし、血管性浮腫や呼吸困難やけいれんなど、重篤な症状が現れることもある。 もちろんどのような症状が出るかは体質によるが、「たかが2ヵ月に一度の白髪染めで大げさだ」と気にせずにいると、痛い目に遭う。 白髪染めに含まれる危険な物質はこれだけではない。 アニリン、ニトロベンゼンといった化学物質も非常に刺激が強く、肝臓疾患を引き起こす可能性があるとされている。このことは隣国の中国でも問題になっているようだ。 中華系のメディア『Apple Daily』が今年3月に伝えたところによると、50代の女性が息切れや黄疸といった症状を感じ、病院で診察を受けた結果、慢性の肝機能障害を患っていることがわかったという。そしてその原因が、彼女が10年前から続けていた白髪染めにあったのだ。 ●表示義務がない成分も 暴飲暴食もしていないのに、健康診断で肝機能の数値が悪くなった――。 そう感じたら、長年続けてきた白髪染めが、予想だにしない原因になっているかもしれない。 そもそも、なぜこれほどまでに危険な物質が使われているにもかかわらず、白髪染めは規制されることなく市販され続けているのか。 日本化粧品工業連合会によると、ヘアカラー剤は医薬品医療機器等法のうえでは「医薬部外品」または「化粧品」に分類されるものがほとんどだ。ヘアカラー剤のタイプによってどちらの分類に入るかは変わるが、店頭で購入できる白髪染めには両方のタイプが存在する。 人体に一定の改善効果をもたらすとされる「医薬部外品」は、その効果をパッケージに謳うことができる一方、 安定剤や防腐剤など、商品の品質を維持する「キャリーオーバー成分」については、表示の義務がない。そのため、どのような危険が潜んでいるか、パッケージを見ただけでは消費者にはわからないのだ。 また、「化粧品」に分類されるものには、使用が禁止されている成分が、冒頭のホルマリンも含めて30種類ある。それでも数は少ないほうで、たとえばEUでは1300種類を超える成分が禁忌とされている。 これらの理由から、海外では認められていないような成分も問題がないかのように添加でき、普通に販売されているわけである。 これまで見てきたように、市販の染毛剤は強烈な毒性を持つものだが、どうしても白髪が気になってしまう、という人にいい方法はないだろうか。 その一つにお歯黒式白髪染めがある。 正式には非酸化染毛剤と言う。 一般的なヘアカラー剤は過酸化水素水などの強力な薬剤を組み合わせ、酸化反応を起こすことによって発色させる一方、 『お歯黒式』は鉄剤とポリフェノールを反応させて色を付けるため、はるかに健康へのリスクは低くなる。脱色効果は無いが髪には優しく、白髪染めにはもってこいの方式のようだ。種類は少ないが、市販のものには非酸化染毛剤である旨がパッケージに書いてある。 また、このお歯黒式のほかにも、天然の植物を使った「ヘナカラー」や、トリートメント感覚で塗布し、徐々に黒く染めていく「カラートリートメント」といった方法があり、これらは身体への健康リスクが一般的な酸化染毛剤よりも少ないと考えられている。 染色までに時間がかかるのがネックだが、身体のためを思えばこれらの方式を検討したい。 身だしなみはいくつになっても整えていたいものだが、それが原因で身体を壊すようなことがあっては、元も子もない。

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