top of page
reworkjp

毒について

そもそも微量な薬が人間にどうして効くのか!を考えた時、分かりやすいのが毒だと。 一般的に「毒」は危険で良くないもの、「薬」は安全で良いものと思われていて、あたかも対立する別の存在のようだが科学的にみると毒と薬の間に明確な違いはない。毒も薬も共に生物活性に影響を与える作用があり、本質的には同じものだ。 毒性の強さを表す指標になっているのがLD50という値である。半数致死量の略で、その量を投与すると実験動物の半数が死んでしまうと予想される値のことだ。

表の一番下、青酸カリだと1kgで5~10mgが致死量であるから、体重60kgだった場合300~600mgで死んでしまうってことに。死ぬのに1gもいらない、ってことだ(;∀;) 一番上のボツリヌス菌の場合、体重60kgの人が0.00006mgで死んでしまう。g(グラム)にすると0.00000006g… ボツリヌス毒素は単純計算では1gで100万人以上のヒトを死亡させる能力がある。その殺傷力はあの悪名高い毒ガス兵器“サリン”の1万倍、青酸カリの実に100万倍と言われ、ボツリヌス毒素が世界最強の毒素と呼ばれる所以である。どんだけぇ~( ゚Д゚) 作用による分類をすると ●神経毒…ボツリヌス菌、フグ毒、コブラ毒など ●血液毒…マムシやハブの毒など ●細胞毒…サリドマイド、有機水銀など この中の神経毒について深堀りを。 神経毒には電気信号による情報の伝導を阻害するものと「シナプスにおける化学物質による伝達を阻害するもの」の2つに分かれる。 ● 電気信号を阻害…フグ毒のテトロドトキシンは細胞のナトリウムチャンネルを開放して細胞内にナトリウムイオンを大量に流入させてしまう作用がある。これにより正常な細胞内外の荷電の変化が阻害される ★電気(電位とか)について、調べる(自分への宿題) ● 化学物質を阻害…本来はアセチルコリンという神経伝達物質がシナプスを介して情報を伝えた後、ある酵素によって分解されるのだが、アセチルコリンによく似た物質がこの酵素と結びついてしまい、アセチルコリンは残ってしまう。すると(神経が異常に興奮して)筋肉は収縮することができず、色覚異常、歩行異常などの神経症状が出て、重症だと呼吸ができなくなり死に至るなど、様々な症状を引き起こしてしまう。 (神経ガスのサリン、ボツリヌス菌など) ★酵素について、調べる(自分への宿題) ところでボトックスという薬品名、治療名を近年よく耳にする。 なんと、A型ボツリヌス毒素から開発されたもので、ボツリヌス菌毒素を注射すると患部周辺の神経終末からのアセチルコリンの放出が止まることで表情筋への信号伝達が遮断され、笑ったりしてもシワができにくくなるというわけ。目尻のシワや小じわの除去に威力を発揮したり、下まぶたをゆるませて目を大きくぱっちり見せる、小顔にみせるなど。 1gで100万人殺せる毒を顔に注射してしわをとりましょう、の説明では患者が逃げ出してしまうだろう(^^; 毒が薬(?)になるってことのビックリ事例でした

閲覧数:2回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page