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化学物質ホラー話、ポリカーポネート編

ポリカーポネート哺乳瓶のリスクは? ポリカーポネートから出るBPA(ビスフェノールA)の「環境ホルモン」の作用が性の発達を狂わせる…ということでそのリスクを喧伝された高分子化合物の例である。 1999年に「コンシューマーレポート」誌が『乳児の警告』というホラー記事を載せた。ABC放送もBPAの危険を警告するドキュメンタリーを流した。 一部の環境団体や研究者が問題にした環境ホルモンとはエストロゲンという女性ホルモンで「内分泌攪乱作用」を指摘したが、ホラー物語は以下のようにして生まれた。 アメリカ、スタンフォード大学医学部での研究者が「ポリカーボネート製の容器からシミ出る5ppbのBPAがエストロゲン作用をしていた」と発表。BPAの活性は天然ホルモンの0.1%以下なのに有名研究者らが『奪われし未来』という共著の中で、とにかくエストロゲン作用があるからと悪者に。世界自然保護基金(WWF)もBPAに疑いの目を向けた。 工場のそばを流れる川にBPAが検出されたという環境団体の警告も市民を不安にさせた。だが濃度は1ppbに満たず、一番敏感なミジンコも1000ppbの水中で影響をうけなかった、水中生物に悪影響したとの報告は無い。 ここで数字のトリックを。 たしかにBPAがポリカーボネート容器から出る、しかし濃度はせいぜい1ppb、上記の5ppb検出した例もあるがそれでもppbとは液体の微量な濃度をしめす単位だが、それは10億分の1の濃度を示すので10億分の5の濃度ということだ。 さらにこの濃度の単位は「ppm」、「ppb」、「ppt」の順に1/1000濃度になっていくわけだが、メディアはリスクを大きく見せたい時は 「5ppb」 を 「5000ppt」に、少なく見せたいときは 「0.005ppm」 と書いたりする。 別の尺度表現では、5ppbは「6年のうちの1秒」となる、感覚としてこれは伝わりやすいネ(^^)/ たとえ哺乳瓶から出ても乳児の体に入る量(1日0.001mg)は安全な一日許容量の50分の1でしかない。「コンシューマーレポート」誌はどうやら計算ミスの数字を引用して、安全量の何倍も出ると書いていたが…。 BPAメーカー団体が全米科学アカデミーの監修で試験したところ、ヒトの健康を脅かす証拠はなかった。発がん性も変異原性もなく、摂取量は安全レベルの数百分の1につぎない。 たいていのポリカーボネート製品(CD、DVD、機動隊の盾、バス停の屋根、冷却ファン、ヘルメット、携帯電話、家電製品、車のバンパー)は触れて体にBPAが入るものではない。ポリカーボネートはほかのプラスチック原料よりシェアを広げ、世界の生産は200万トンを越す。 哺乳瓶や包装材、給水機や医療器具からは微量のBPAが人体に入るだろうが、そんな用途についてはアメリカ食品医薬品局(FDA)が安全を保証したし、食品が含むBPAも危険量のずっと下だ。環境に出たBPAがたちまち生分解されることは、経済協力開発機構(OECD)が実証したし、生態系になにか悪影響が出たとの形跡も無い。 ところで、アメリカ環境保護庁(EPA)の要請に応えて国立毒性学計画が2001年5月に出した予備報告には『最終結論が出ていないため研究は今後とも必要である。結論が出るまではEPAの現行ガイドラインに従うべし』とある。 割愛するが様々な機関がその安全性を報告するのと合わせて逆のレポートも。例えば2003年にある研究者の論文で『アルカリ性の洗剤で洗ったポリカーボネート容器からBPAが溶けだし、微量のBPAがマウスの卵に異常をおこした』と報告…、 重箱の隅をつつく所業のように見えるのだが、彼はこのレポートで少なくない研究費を獲得できたはずである。 ある結果が出たとしてその差が微量な場合、また100%の確証が得られない場合、安全か危険かの最終判断はそのヒトの信念に依ると思う。 ただ数字のトリックや、それを主張するヒトや団体の背景(お金の流れ)を観察することは大切だと思う。

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