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化学物質はいつも非難の的だった(化学物質ホラー話を斬る、その1)

ジョン・エムズリー —————— ロンドン大学化学科の教授。テレビの科学番組製作や、コラムニストとして科学の啓発普及に活躍。2003年にドイツ化学会著作者賞を受賞など多数の受賞あり。以下、彼の世界的なベストセラーになった書籍の抜粋を紹介する。太字だけでも読んでみて欲しい! 抜粋のため前後に記述の実証データや研究は割愛していることご容赦、ピンときた人はぜひ原本の購読をオススメする。 ——————

だが金の卵を産み続けるガチョウを殺してはいけない。「反・化学」の戦法を分析し、防衛手段を考える。 飲み水や食品、空気に入っている超微量の物質を騒ぐなど、私には不思議でならない。少なくとも過去100年以上、国民の健康はどんどんよくなったし、水も食品も空気もはるかにきれいに安全に、今もきれいになり続けている。それなのに1980~90年代のメディアは化学物質の脅威を叫び続けた。化学物質はただ物質でしかない。 あれほどメディアがやるからには化学物質は危ないはずだ、何か科学的証拠があったに違いない…と思う人が多いがたいていはノーである。科学的発見にはサイエンスの裏打ちが無いものも多い、データのずさんな収集・処理・発表が生んだ幻が多い。

バイアスのかかったデータに注意(化学物質を悪者にする)

例えば疾患(感染症、がん、心臓病など)の発症データと、食習慣や生活習慣をつきあわせて原因を探る疫学調査には、身近な製品や環境中の化学物質を主犯としたものが多い。 ところでデータの収集と処理はそれぞれ別の営みで、どちらかをしくじれば結論はそっくりゴミになってしまう。疫学に経験の浅い科学者はエラーに気づかないまま論文を書く。そして何事もなければ埋もれてしまうはずだったそういう話を、活動団体などが発掘してマスコミに発表、大騒ぎを起こしたりする。 ふつうの活動団体は「まず結論ありき」で何かを証明したいと願っている。例えば「芳香剤が喘息を増やす」と信じ込んでる人がいたとしよう。その人物は、喘息患者と健常人に「芳香剤を使ったことがありますか?」と質問する。それぞれ100人に聞いたら、喘息患者の50人と健常者の45人が芳香剤を吸った経験がある。そこで、芳香剤は喘息を11%も増やすと結論する。つまり化学物質が病気を起こすと証明できたわけ。もちろん一流学術誌にはそんな話は載らないが、発表の場は学術誌だけではない。 話を短くまとめてマスコミ発表する手がある。書いたのが大学の研究者なら「芳香剤が喘息を!」なんて見出しの記事になる。次にその研究者は、社会的意義のきわめて大きい問題ですよという作文をして財団や国に研究助成を申請する。てことは極端な例だとして、似たようなことはよく起きている。 このような調査では調査人数が多いこと、両軍の特性(年齢、性別、体重、婚姻歴、民族、職業、嗜好)をなるべく揃えることが必須、その上でまだ3つの落とし穴「データの選択」「データ処理」「隠れた因子」があり、いろんな形でエラーを生む。

データの選択と、その因子に注意(化学物質を悪者にする)

被調査者を無作為抽出しない、結論に合わないデータを除外する、すると結論は期待に傾く。だから調査は第三者に任せるべきだが巨費がかかるため避けられる。

疫学者は交絡印紙とよぶ。たとえば以前、赤ワインは心臓病を防ぐとほのめかす疫学データがあった。しかし赤ワインをよく飲む中流階級はもともと寿命が長い。かたや、赤ワインなどめったに飲めない貧困層はもともと寿命が短い。1997年のノバルティス財団「アルコールと心血管障害」シンポジウムでそんな発表が話題をよんだ。 熟練の疫学者は膨大なデータをきちんと処理し、数字の背後にある事実を明るみに出す。結論にどれほどの信頼性があるかも正確に述べる。だが「にわか統計屋」は都合の悪いデータは隠し、都合のいいデータだけを都合のいいように加工したりもする。

———- 以上、ジョンエムズリー著『「化学物質」恵みと誤解』、からの一部抜粋でした

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